日本大使館(左)。お世話になりました。出生届(中)は、日本国内で提出するのとあまり違わない。右は、Register Officeでもらった出生証明書の訳文の記入用紙。
日本での出生届は、市町村役場や区役所ですが、外国で出生した場合は管轄の在外公館(大使館、領事館)まで行く必要があります。Wimbledonの場合、ロンドンに日本大使館があるので、それほど遠距離ではない。

日本大使館は、ピカデリー通り101番地だそうで、ピカデリーサーカスからはちょっと遠い所ではあるが、グリーンパークという公園を挟んだ反対側はバッキンガム宮殿という絶好のロケーション。建物の壁からは日の丸が掲げられていて、入り口の横には「日本国大使館」と書かれたプレートが貼られている。入り口を入るとまずはセキュリティーチェック。これは空港のと同じ。それを過ぎると階段を数段上がって窓口があり、中に座っている係官が

「こんにちは」

と声をかけてくれるので

「出生届に来ました」

と言う。そうすると、

「ガラス戸の中に自動番号交付機があるので、上のボタンを押して番号札を取って待っていてください」とのこと。

やがて順番がやって来て、受付へ。 そこはまた完全窓ガラスで区切られたブースになっていた。

「出生届に来ました」

というと記入用紙と雛形一式を渡される。

「もし書き損じても、二重線で消して書き直していただいたらよいです」

とのこと。日本ならただのような用紙もこちらでは節約しないといけないのかもしれない。
日本の出生届とは、基本的に同じ様式だが、

  届出先が「何々大使」または「何々総領事」になっている

  「その他」欄に「日本国籍を留保する」という項目がある

というのが主な違い。そして、住所は、こっちの住所を日本語表記したことなんかなかったから大変戸惑ったのだが

 「英国ロンドン市南西19区ウィンブルドン何々通り何番地」

とカタカナで記入。郵便番号がロンドンの場合は東西南北のE、W、S、Nを組み合わせてNW8とかW1とか決められているが、WimbledonはSW19という郵便番号。これが単なる郵便番号かと思ったら、住所の日本語表記にはしっかりと「南西19区」と記入しておく必要があるという。

もう一つ、イギリスの出生証明書の原本と訳文も提出する必要があるが、訳文はその場で自分で雛形を見ながら作成せよとのこと。なんと大変なことを、と思ったが、やってみたら何の苦労もなくできた。

そして再び番号札を取って、呼ばれたら提出。ちょっとした書き間違いもその場でチェックしてくれる。日本の戸籍に登録されるのには、まず書類が東京の外務省に届いてから各都道府県に送られるなど、色々ややこしいので二、三ヵ月はかかるとのこと。最後に

「おめでとうございます」

と言われて終わり。今までに見た日本の各種公務員の中で一番対応が良かった気がする。当然だが、これも無料(まあ、日本で出生届を出すのも無料だけど、今日本に住民税を払っていないのにここまでしてもらって、という思いもあり、ちょっとありがたかったりする)。
出生届
Register Office(左)、出生証明書(簡略版)と、記念用の証明書(右)。
退院時に、「出生の登録をここまで行ってするように」と出生登録をする場所の書かれた紙を渡されていた。そこは、Wandsworth Register Officeという場所(生まれた場所によって、ロンドンの中でもいくつか登録する役所があるらしい)で、Wimbledonからならバス156番なら乗り換えなしで目の前まで行けるが、あるいはClapham Junctionで乗り換えてWandsworth Town下車、徒歩約10分。

オフィスに着いて

「出生の登録に来た」

というと、

「退院時にもらった書類はある?」

と尋ねられる。そんな物が必要とは書かれていなかったぞ、確かにそんな書類はもらった気がするが今日はもって来ていないぞ、と思いつつ

「あー、もって来ていないです」

と言うと

「まぁ、それでもいいです、何病院でしたか?こっちから尋ねてみます、名前と生まれた日付を教えてください。そこに腰掛けてしばらく待っていてください」

といわれる。
しばらく待っていると、

「○○さん、どうぞ」

と、個室に案内される。そこで

「病院に問い合わせの電話をかけたけど、つながらなくて・・・でも、いいです。今からやりましょう。」

といわれる(ということは、病院に出生の確認を取らずに登録する、ってことなんだ・・・そんなんでいいのか?)。それで、子供の名前・性別・生年月日、両親の名前・住所・出生地・国籍などを問われる(必要事項のみの簡単な質問ばかり)。

全部終わったら、「Birth Certificate(出生証明書)」がプリントアウトされる。これには簡略版と完全版とがあり、簡略版は無料で一通もらえるが、完全版は有料(一枚3.5ポンド)。しかし、あとで日本の出生届を出すのに完全版が二通必要なのでお金を払ってプリントアウトしてもらう。さらに、「commemorative birth certificate(記念用出生証明書)」というのもあって、あまり申し込んでいる人は多くないようだが、日本にはそんな物は絶対にないので、話のネタに申し込む。一枚5ポンドだが、同じ物を2枚買えばもう一枚ついてくる(要するに10ポンドで3枚、ということ)ので、10ポンド払って3枚を申し込んだ。

最後にNHSの登録カードももらい、

「これをGPに持っていってね、そうしたら登録されることになっているからね」と言われる。このカード、本当ならば個々人のNHSナンバーというのも印刷されているのだが、前述の理由で病院と連絡が取れていないので「NHSナンバー なし」という状態になっていた。
出生登録