(上)ユーロスター2等車の車内。パリ側の半分は全部ロンドンを向いていて、ロンドン側の半分は全部パリを向いている配置になっている。
(右)車内で配られた、売店のメニュー。3ヶ国語で書かれている。
(下)ユーロスターの座席。
トンネルを出たら、先にフランス語で「フランスへようこそ」みたいなことを言っている。もちろん、先程の一両毎の扉も自動的に収納されていた。車内放送はイギリスを走っていたときには英語が先だったが、フランスに入ると逆になったのだ。そして、大陸に入ったらイギリスとは異なり右側通行になるのか?と思ったらそのまま複線の左側を走り続けている(後で調べたら、フランスでは、歴史的経緯から地下鉄は右側通行、国鉄は左側通行なのだそうだ)。ところどころで横を走る高速道路は、当然右側通行になっていた。フランスに入ってからの風景は、というとこれまた特に何があるというわけでもない。農村風景の丘陵地帯をひたすら走った。そして、車内放送が到着予定時間の40分ほど前なのに「あと10分ぐらいでパリ北駅に到着」という意味のことを言っていた。全然住宅などなくてまだまだ首都圏という感じではなかったが、本当か?と思っていたら10分たっても全然風景は変わらず。その後列車は走り続けて次第に住宅が多くなり、結局定刻にパリ北駅に到着。下車したらそのまま駅舎の方に向かっていくと開け放たれたガラスの扉を通り、非管理区域に出る。ユーロスターでイギリスへ帰ることを予定している人には、二階へ上がってイギリスの入国カードを手に入れておくことをお勧めする。
(左上)ロンドンの地下鉄の壁一面に貼られていた広告。パリの中心まで2時間35分、というのを言いたいためにエッフェル塔が見える場所まで線路が!という合成写真になっている。
(右上)路線変更の概念図。白線が開業以来使用している在来線区間で、2007年11月14日からは全区間黄色線を走るようになる。
(右下)今回の切符。航空券の大きさで、名前も右上部分に印刷されている(モザイクの部分、ただし、パスポートの氏名と照合されることはなかった)。右下の「GBP **29.50」が切符の値段。
(右)WaterlooからSt Pancrasに発着駅が変更されることを知らせる広告。
8時に自宅を出発、WaterlooまではWimbledonの駅から15分ほどしかかからない。電車はWaterlooの駅の東の端に到着だが、今度は西の端にあるEurostarの改札へ。時刻は9時過ぎ、10時10分の発車からしたら一時間前。30分前までに改札を済ませるようにと注意書きには書かれている。見た感じ日本の自動改札機に少し似ているような機械だが、切符の挿入口から、入れた切符がそのまま出てくる仕組み。有効な切符だとゲートが開く。
次に荷物のセキュリティーチェック。飛行機と違って、液体の持込み制限などもなく、ノートパソコンもかばんの中に入れたままでO.K.だった。そして、イギリスの出国審査はなく、そのままフランスの入国審査。といっても何も尋ねられることもなく、係官は黙々とはんこを押す作業をしていた。パスポートには機関車がデザインされた印が押された。
それを過ぎると免税店や通貨両替所が並んだ待合室。なんと、ディズニーランドのホテルのチェックインもここで出来るようになっていた。また、パリの美術館めぐりに役立つ「Museum Pass」も売っていたが支払いはポンド建てで、ユーロに換算してみたらちょっと高めの値段設定になっていた。
(左)今回宿泊したホテル「Alba Opera Hotel Residence」。路地の奥なので、初めは場所がわからなかった。近くには早朝から開いているパン屋も何軒かあり、便利な場所だった。また、簡単なキッチンもあり、使い勝手の良いホテルだ。ただ、本格的に調理をしようとしたら、油や包丁などが欲しくなる。
(右)鏡に映ったホテルのエレベーター。らせん階段の真ん中の空間にすっぽりとはまった形になっている。扉の開け閉めは手動。
ホテルは7階建ての6階の部屋。冷蔵庫・電子レンジはないがキッチンがありフライパン・鍋も一応は備え付けられ、食器も最低限おいてある。バスタブなし、シャワーのみ。部屋そのものは新しくはないが汚いわけではない。広さはまずまず。子供のためにソファーベッドを入れて貰ったがそれでもまだスペースがある。パリの中でこれで1泊111ユーロは高いとは言ってはいけないだろう。エレベーターは年代物で手動扉。それが狭いが遅すぎることもなく美しく手入れされている様子で非常に役に立つ。ホテルの立地も、地下鉄のNotre Dame de Lorette駅から徒歩約5分その途中にパン屋や果物屋が何軒もあり、また総菜屋や飲み屋もあるという旅行者にとっても便利な場所だ。
(左)ご存じ凱旋門。
(右)日本人は大のお得意様、でも今回見に行ったときにはアジア人はアジア人でも、中国、韓国の人達も多かった。ルイ・ヴィトンの本店。
デパートの前からバスで凱旋門に。そこからシャンゼリゼ通りを歩く。「シャンゼリゼ」は「les Champs-Élysées」と表記し、日本語に直したら「極楽浄土通り」ということになるそうだ。賑わいは大阪で言うと御堂筋のようなものか(と思ったら、なんと「御堂筋シャンゼリゼ計画」というのまであるそうだ。ひとが考えることって同じなのかも)。しかし、歩道が両側とも広々としているのにはびっくりさせられた。
(左)眼鏡のミキパリ店。中に入っていないので、果たして値段が日本と同じかどうかはわからなかった。
(右)デパートLafayetteの内部。公式サイトを見たら、歴史的建造物になっているそうだ。クリスマスシーズンには、この真ん中に大きなクリスマスツリーが飾られるそうだ。
(左)パリの地下鉄、Metro(メトロ)。もちろん軌間は標準軌(1435mm)だが、車体は短く、幅も狭い。路線上には急曲線も数多くあり、これを曲がるためにはこういう車体を採用するのも仕方なかったのかもしれない。多くの路線は、写真のように複線トンネルになっているようだ。こちらは右側通行。
(右)地下鉄などの切符「チケ」。回数券「カルネ」として買うと「carnet」の文字が入るが、窓口では10枚のバラバラの券を渡される。
「ピラミッド」の辺りは日系の店が多いみたいで、ヤマト運輸なんかもあった。そして「パリの店と同じ値段ね~」の眼鏡のミキも!!近くの銀行でT/Cを現金に替える場所を尋ねたらここでは出来ないがAmerican Expressなら近くにあるといわれてオペラ座の裏まで行く。街の小さな両替所かと思ったら、そこは建物にでかでかと「AMERICAN EXPRESS」と彫ってあるような大きなオフィスだった。そこから凱旋門までバスに乗ろうかとバス停を探したらデパートのラファエットが目に入ったので中に入る。パリで一番大きなデパートというだけのことは会って、中はかなり豪華な建築。日本語で免税手続きの出来るカウンターもあるそうだ。
ホテルまで歩いたら、30分くらいかかったような気がした(実際には近道をしたら15分ほどしかかからない)。「Alba Opera Hotel Residence アルバ・オペラ・オテル・レジダンス」という名前のホテル。「Opera」と言う名前が付いているのは、「オペラ座の近くにある」という主張なのかもしれないが実際にはあまり近くないような気がする。「Residence」と言うのは「キッチンがついたアパルトマン風ホテル」のことだそうだ。
宿泊料金は前払い(トラベラーズチェックは受け取らないといわれた)という決まりだそうで、現金で支払ってチェックインしたが、部屋がまだ出来上がっていないということで荷物は保管室に。(恐らく)オーナーであろうおばさんはものすごく愛想がよく、地図を渡してくれたりと世話を焼いてくれる。

彼女に教えられた道を歩いてMetroの駅に行く。窓口で「カルネ」という回数券を購入。「ドゥ カルネ シルブプレ(カルネを二つ下さい)」というガイドブックに書かれていたそのままを言ったら、どうやら判ってくれたようだ。そこから地下鉄に乗ってまずピラミッドまで行きMuseum Cardを購入。二日分で一人30ユーロ。一日で15ユーロ分入場したら元がとれる計算。まあ、入場券の行列に並ぶ必要がないことも計算に入れると、リーズナブルな価格ということになるかな。これが4日券だと45ユーロなので一日11ユーロほどになり、元は取りやすくなる。
(中)パリ北駅はプラットフォームの高さが低いので、ステップが出てくる(ロンドンの駅は、ホームの高さは高いので、ステップは出てこない)。
(右)パリ北駅は、ユーロスターホームがガラスで仕切られていて、切符を持った乗客以外は立ち入りできない。左の赤信号のすぐ下に犬が見えるが、恐らく麻薬犬。
出発約30分前になると放送があって乗車が可能になるので乗客たちは一斉にホームに向かってエスカレーターを昇っていく。車内は「集団見合い」式の座席配置、椅子の向きを変えることはできない。しかも、2等車の椅子は、リクライニングしない。フランスのTGVの方式にしたらこうなるようだが、日本の新幹線の、向きも変えられリクライニングも可能、というのに慣れていたらとても貧弱な印象を受ける(ただし、一列に4人掛けなので、座席の幅だけはゆったりしている)。今回の席は、15号車(ロンドン側が1号車)の63番。進行方向左側後ろ向きなので余り嬉しくない。

ロンドンを発車するとすぐに車内放送がある。マイクを手にした乗務員の自己紹介もあり、全て英語とフランス語の二ヶ国語放送。ロンドン近郊では、ポイントをいくつも渡って列車は身をくねらせながらゆっくり進み、Vauxahll、Brixton、Herne Hill、Beckenham Junction、Bromley South、、、と在来線上を通過していく。発車後約30分でロンドンから離れると、今度はしばらく牧草地帯の中を走る。窓から見える風景も、特別美しいわけでもない。そして線路脇に架線柱が立ち並んだかと思うと、すぐに進行方向左から新しい複線が近づいてきて、上下線の間に挟まるように現在走行中の線路の下をくぐり抜け、やがて合流してきた。これがユーロスター専用の新線区間(High Speed 1)で、11月14日からは全列車がこちらを通るようになる。また、ここからドーバーまでの区間も、一足先に使用を開始したHigh Speed1ということになり、高速走行ができる。

そう思っていたら間もなくAshford International駅に停車。停車前の車内放送では、「停車時間は短いので車両の外には出ないでください」というようなことを言っていたが、実際に停まってみたら3分程は停まっていた気がした。ほとんど乗ってくる人はいなかった。駅を出発すると、車両基地が見える。Class 395という、イギリス鉄道史初の日本製車両が配属されるところでもある。
そこから海峡までは列車の速度が上がることもありそれほど時間はかからないが、ユーロトンネルに入る前に昼食でも、と13号車にある売店に行ってみた。売店で売られているもののメニューの紙はロンドン発車後しばらくした時に一人に一枚ずつ配られていた。とはいっても、英語/フランス語/ベルギー語で書かれた文字ばかり見てもイメージは浮かんで来ないので何を食べるかも決めずに行ってみることにした。売店には数人が並んでいた。やがて自分の番になったが、壁にスープの写真が貼ってあったのでスープを注文。若い係員は英語で応対したのだが、同僚とはフランス語で話していた。どうやらスープはこれで売り切れになるらしく、「これが最後の1個ですよ、あと、このパイも最後の1個ですけど、どうです?」と言うのでそれも購入することにした。そうこうしているユーロトンネルに入っていたが、ユーロトンネルに入ったからと言って特別の車内放送はない。トンネルに入ると、何故か貫通路の所で一両一両を仕切る扉が新たに繰り出されて来た。もちろん通り抜けは出来るのだが、火災発生時に隣の車両へと火が移らないようにするための仕組みなのかもしれない。
座席に戻って買ってきた食べ物を食べてみたら、非常に美味しかった。こんなに美味しいものは絶対にイギリスではなくてフランスで作ったものだ、と思った。
1日目(木曜日)
(上左)Waterloo International駅。在来線のWaterloo駅構内にある。この駅の使用も、2007年11月13日まで。
(上中)パスポートに押されたフランス入国印。
(上右)免税店が数軒並んでいる。ロンドン土産の店もあるが、あまり購買意欲をそそるものはなかった。
(下)ユーロディズニーランドのホテルのチェックインカウンター
ロンドンに住んでいるのなら、一度くらいはユーロスターで旅行、というのが誰でも考えることだが、そのユーロスター、2007年11月14日からロンドンの発着駅が変更されてこれまでのWaterloo駅は使われなくなる(もともとユーロスター開業時に、イギリス国内部分は在来線を走っていたのでスピードも遅く非常に時間がかかっていた。これをユーロスター専用線を使い最高時速300km/hで走らせる工事が進み、同時にロンドンのターミナルもテムズ川をトンネルでくぐって新しく整備されたSt. Pancrasに変更される、というのでそれまでに乗ってみよう、というわけで旅行を計画した(ちなみに何故11月14日かというと、1994年のユーロスターの開業の日が11月14日だったから、それにあわせた、という訳)。

ユーロスターは、正規運賃なら片道2等車で300ポンド(約7万円)以上というバカみたいに高い値段になるが、早期に予約すると安い切符も手に入る。今回は、大人一人往復99ポンドだった。
ユーロスターでパリ3泊4日の旅