ところが

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時刻表最終号に載せられていた一文。和訳すると、
「親愛なる英国鉄道時刻表読者の皆さん
英国鉄道時刻表−印刷最終版
これが英国鉄道時刻表の最後の印刷版になります。ここ数年、需要は減少してきて現在では印刷するのが不経済な点まで来ました。
2006年12月にはオンライン版の時刻表が立ち上がり、同じ詳細な情報が同じ形式で、簡単にダウンロードできるファイルとして得られます。こちらは無料です。
ポケット版の時刻表は各々の鉄道会社から今後も発行されます。
英国鉄道問合せオンライン旅行計画(www.nationalrail.co.,uk)と電話問い合わせサービス(0845 748 4950)は引き続き鉄道利用者に必要とする情報提供を続けます。このサービスは複雑な旅程を扱うことができ、最新の時刻表情報を使用しています。」
ついに、時刻表は廃刊になってしまった。
2007年夏号が最終号で、表紙には「
FINAL PRINTED EDITION」と書かれ、本文2ページには


「Dear National Rail Timetable user

National Rail Timetable - Final Prined Edition

This will be the final printe edition of the National Rail Timetable (NRT). Demand has declined over recent years to the point that it is now uneconomical to print.

An online version of the timetable was launched in December 2006, and provides the same detailed information in the same format, with easy to download files. This accessible online version is available free of charge at Network Rail's website www.networkrail.co.uk.

Pocket Timetable for specific services will continue to be available from individual train companies.

The National Rail Enquiries online journey planner (www.nationalrail.co.uk) and telephone enquiry service (0845 748 4950) will continue to provide rail customers with the information they require. This service can deal with complex itineries and uses the most up-to-date timetable information.

All the best for your future journeys.

Charles Belcher
NRT Policy Board Chairman



という文章が掲載されている。これについてちょっと考えてみた。

まず、廃刊の理由は、冒頭でも述べられているように不採算ラインを割り込むまで需要が減ってきたことだという。確かにインターネットの発達で目的の日時に目的地まで着くための一番速い列車を調べるだけなら分厚い本のページをめくるよりも速いだろう。

しかし、時刻表って、単に列車の時刻を調べるだけではなくて、鉄道の営業案内(運賃・料金の計算方法、とくとくきっぷなど)や、旅館・ホテルの案内、最近なら鉄道以外にも長距離バスや航空機などの時刻も載っていたり、あるいは各鉄道自慢の新型車両の説明とか、駅弁の案内とか、日本なら当たり前のように載っている。そして「時刻表は毎月変わります」という半ば脅迫めいた文言が印刷されていて(毎月どこかが変わっているのというの本当のこと)これを読んだら毎月買わねば、と思わされてしまう。

それって、イギリスの時刻表にはないのか?











                                    ありません。

その理由は、思うに、

イギリスの鉄道は、運賃が同一区間でも何種類もある(往復は片道と余り変わらなかったり、前売りの割引やオフピークの割引などで煩雑を極める)ので、載せきれない

旅館・ホテルは日本のような「観光旅館連盟」などというものが存在しないようで、鉄道会社と協定を結んでいるホテルもないそうだ。

「駅弁」のような弁当など存在しないし、どの駅でも同じようなコーヒーやサンドイッチが売っているくらい。

となると、時刻表に載せているのは単に列車の時刻だけというのもむべなるかな、という気もする。



しかし、この時刻表、余りにも分厚すぎる上に、値段も高い。
分厚いのには理由がある。時刻表は毎年夏と冬に発行されるが最終号で何と
3184ページ!!
 イギリスの鉄道は、「月〜金」と「土曜」と「日曜」で全く時刻が異なる場合が多い(たとえ地方路線であっても)ため、それぞれ別ページにする必要がある
 半年間の途中で時刻改正があった場合、当然別ページになっている。
 余白が余りにも多い


年2回発行で一冊£12ということは全部買っても一年で£24、日本円で6000円以内。日本の大判時刻表を毎月買うことを考えたらその半額ほどにはなるが・・・それでも一冊£12というのはちょっと高いかな、という気もする。
そして、鉄道路線図だが、日本では巻頭にまとめられているがイギリスの時刻表では開くとA1版くらいの大きさの一枚物が挟み込まれているので、これをいちいち開けないといけない。つまり煩わしいことこの上ない。


もしも日本の時刻表の良い点を取り入れるとすると

  発行会社を複数として競争させる(どうして鉄道そのものが民営化しているのに時刻表だけしていないのか理解に苦しむ)
  発行を毎月とする(必然的に当月分の時刻だけで済むのでページ数は節約できる)
  広告を入れる(広告収入で本体価格が安くできるはず)

というようなことも出来たはず。そうすれば、安くて薄くて毎月発行、お楽しみページ付きということになりもう少しは売れ行きも上がったかもしれない(架空の話だが)。



結論としては、「日本人から考えたら、営業努力が足りないんじゃないの?」ということになりそうだ。
イギリス鉄道時刻表の廃刊